宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
NPO法人ひむか里山自然塾

里山とは人が使う森のこと
自然体験のための森づくりを。

バードウォッチングやネイチャーゲームなどの野外活動を通じて、環境教育を手がけている「ひむか里山自然塾」。代表の岩切重人さんの案内で、宮崎市高岡町の山中に整備中の「昆虫の森」を訪ねてみた。そもそも昆虫の森とは?

「国有林の伐採跡地に、クヌギやコナラといった昆虫が棲みやすい木を植えて、生き物の多様性に富んだ森を作ろうというものです。この一帯52ヘクタールの国有林の中に、人と自然がふれあう場として『ひむか里山の森』を作る計画なのですが、昆虫の森はその第一歩となります」

汗を流すボランティアの人たち

伐採後の斜面にクヌギやコナラを植えて「昆虫の森」を作る計画が進む。木を植えやすいように整備するため、汗を流すのはボランティアの人たちだ。

森作りといっても、それを担うのはボランティアの人たち。この日も三人の方が山に入り、伐採後の山肌をきれいに整える作業をしていた。また、昆虫の森に至る尾根道も手作業で整備したもので、この道が完成すれば全長3キロのネイチャートレールとして、子供たちの環境教育に生かされる。今後は、タラの芽や果実など森の食材が豊かな「エコ・クッキングの森」づくりに取り組むプランもあり、山の麓には小さいながら宿泊施設になるログハウスも完成した。広大な森を相手に、大きな計画が進む。

自然にふれあうための遊歩道

自然にふれあうための遊歩道も手作り。延長3キロの計画のうち、現在、半分ほど完成した。

「里山は人が使う森のことだと思います。これまでは、人の手が入ることで恵みをもたらしながら、バランスのとれた山が保ってこられたのですが、今、手つかずで放置されている山が増えています。これからは市民が自然体験をする場として森を使うことで、結果として山が守られていく。そんな新しい形の里山づくりをめざしています」