宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/

日向灘を一望する丘に建つ
大小700体以上の石像群

高鍋大師と持田古墳群
Miyazaki sightseeing inheritance

85基の古墳からなる持田古墳群(国指定史跡)の一角、日向灘を一望する小高い丘の上に、大小700体以上の石像が並ぶ、高鍋大師がある。 昭和8年(1933年)開山、名の通り弘法大師を祀るが、宗教法人ではない。この地で精米所を営んでいた故岩岡保吉氏が、持田古墳群の霊を慰めるためにお堂を建てたと伝わっている。 その際、大分から仏師を招き、自身もノミをふるって88体の仏像を彫ったのが、この壮大な石像群の始まりとなった。

高鍋大師

材料の石は清武町から運んだ石灰岩で、小丸川の川原を作業場に一心不乱に彫ったという。 家業を息子に譲った保吉氏は、その後も石像を彫り続ける。観音や地蔵などの仏像だけなく、スサノオノミコトなどの神様、中には水戸黄門の像まである。高さ7メートルほどの巨大なものも9体あり、これらは晩年になってから彫り始めたものだ。

高鍋大師

林立する石像の数に圧倒されるが、一体一体を見ていると、ユーモラスという以上に、岩岡保吉という人物の、ものにとらわれない奔放さが伝わってくる。 保吉氏は、近所の子供たちに遊び場としてお堂を開放し、わが子のように慈しみ、時には厳しく導いていた。石像の表情のなんともいえない優しさには、そんな人柄も表れているようだ。

持田古墳群

前方後円墳10基をはじめ85基からなる持田古墳群。
西都原、生目とともに、東九州の一大文化圏がここにあったことを思わせる。