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リゾート特急「海幸山幸」

2009年10月10日、「木のおもちゃのようなリゾート列車」をコンセプトに運行が始まった観光特急「海幸山幸」。
特産の飫肥杉を内外装に使ったゆとりある車窓から、美しい海岸線の風景を楽しめる、南のリゾート特急だ

観光特急「海幸山幸」
日南線 油津駅〜大堂津駅間隈谷川橋梁

よみがえったトロッコ列車

2009年10月、JR日南線に登場した観光特急「海幸山幸」は、木のぬくもりを感じるデザインとゆとりあるインテリアで県内外から多くのファンを集めている。運行スケジュールは毎週土曜、日曜と祝日に、宮崎=南郷間を一往復。2両編成で51席と、通常の車輌の半分ほどの座席数で、車内は広々としており、大きく開けた車窓から南国の風景をのんびり楽しむことができる。

海幸山幸の内装
左)2号車(海幸)3列シート指定21席、自由9席とベンチシート。飫肥杉をふんだんに使った車内は、杉のいい香りがする。 右)1号車(山幸)3列シート指定21席とベンチシート。パンフレット等を置いたサービスカウンターもある。

「海幸山幸」の車両(キハ125形)は、廃線となった高千穂鉄道で使われていたトロッコ列車。これを譲り受けたJR九州が宮崎県の観光浮揚を目的に、特産の飫肥杉などを使って大幅に改造したもので、通常の車両より一回り大きな窓は、窓が吹き抜けだったトロッコ列車の特徴がそのまま生かされている。

海幸山幸の内装
左)きじ車や佐土原人形等の工芸品を飾るミニギャラリー。右)ゆったりしたシート。窓のブラインドも飫肥杉製だ。

内外装には、強度を保つために節目を避けて木どりした、樹齢60年以上の飫肥杉が約400本使用されており、車内に乗り込むと心落ち着くさわやかな杉の香りが広がる。また、外装のアクセントになっている飫肥杉のパネルは、国鉄時代を含めてJR史上初の木製外装で、「おもちゃ箱から飛び出してきたようなイメージ」がぴったりである。 ホームへの進入時、発車時に流されるメロディホンは、フュージョングループ「カシオペア」の向谷実氏が作曲するなど、まさに特別仕様のリゾート列車となっている。

内部レイアウト

車内演出

  1. 「客室乗務員」が乗務し、観光案内・車内販売を行います。車内販売では、日南線沿線の特産品などを販売します。
  2. 「観光列車」の情報や、沿線の観光情報を掲載した観光リーフレットや記念乗車証の配布やフォトサービスを行います。
南九州観光の起点として

JR九州宮崎総合鉄道事業部長の川原淳一さんによると、「海幸山幸」には、平成23年春に予定されている九州新幹線全線開通後の、宮崎観光の目玉となって欲しいという。「博多=鹿児島中央間が1時間20分で結ばれることで、九州内だけでなく関西圏からも含めて南九州エリアへのお客さまが増加いたします。現在、南九州には「はやとの風(鹿児島中央=吉松)」と「いさぶろう号・しんぺい号(人吉=吉松)という観光列車がありますが、「海幸山幸」には、この人の流れを宮崎方面へも誘いたいという願いをこめています」(川原さん)

こうしたコンセプトの中、JR九州は宮崎交通(株)とタイアップし「海幸山幸」と特別仕様の観光バス「にちなん号」を往復で組み合わせる「海幸山幸観光きっぷ」(有効2日間)を発売。往復JR、往路・復路のいずれかをバスという3通りからコースを選べ、「にちなん号」では、バスならではの海辺の光景を楽しめ、青島や鵜戸神宮などの観光もセットになっているとあって人気を博している。

また、青島・北郷・飫肥・油津・南郷などの観光拠点でも、「海幸山幸」の運行にともなう活性化への取り組みが始まった。南のリゾート特急「海幸山幸」で、日南海岸観光の新しい魅力を感じてみたい。

▼問い合わせ
宮崎総合鉄道事業部 TEL 0985-51-5988
宮崎駅 TEL 0985-23-3454

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