黒潮の魚によく合う宮崎の醤油
本欄ではマアジとウルメイワシを紹介したが、海の幸に恵まれた宮崎には、ほかにもカツオ、マグロ類、トビウオなど全国に誇れる魚が多い。特に県南部では、これらの刺身を特産の甘い醤油で食べる。関東風のさっぱりした生醤油はタイやヒラメなどの淡白な刺身の味を引き立てるが、黒潮の影響でカツオなどの回遊魚(青魚)がとれる宮崎では、赤身が多い回遊魚に負けない甘みの強い醤油が好まれる。これを、一口ごとに焼酎で舌を洗うようにして食べると、魚と、甘い醤油と、焼酎が、それぞれの持ち味を引き出し、絶妙のバランスを味わえる。
焼酎と料理の相性は
焼酎はワインのように、料理に応じた厳密な相性のようなものは語られない。それぞれが好みのままに楽しむのが一番なのだが、一般的に、いも焼酎は青魚、鶏、豚肉のようなうま味の濃い食材との相性が良いといわれている。代表格が地鶏の炭火焼きで、しっかりとした味に負けない個性の強さがお互いを引き立て合うのだろう。華やかな香りが身上のそば焼酎は、タケノコや山菜、煮染め、あっさりした刺身といった淡白なものが合うようだ。食事の前半に出されるような繊細な味覚の料理をうまく引き立ててくれる。麦焼酎もそば焼酎に近く、それ自体があまり強い個性を主張しないものが多いので、日本料理全般によく合う。ただし、これらはあくまでひとつの目安。飲み方や料理にとらわれない自由さと、幅の広さが、焼酎の持ち味なのだから。 |