宮崎県季刊誌創刊夏号Jaja
 【特集】堂々、本格焼酎>>宮崎焼酎の概略蔵元を訪ねて蘊蓄知事、焼酎を語る蔵元セレクション


焼酎のうんちく
焼酎豆知識探検隊

うまみを引き出す「20度」の秘密

ウイスキーのテイスティング(味見)は、普通、水で1対1に割る「トゥワイス・アップ」で行うが、これはお酒の持ち味が最もよく分かるのが、アルコール度数20度前後だから、というのが理由。先人たちは経験から分かっていたのか、宮崎焼酎ははじめから20度のものが多い。しかも蔵元自慢の水で原酒を割っているので、焼酎本来の風味を、最高の状態で味わうことができる。

常圧蒸留と減圧蒸留

くせがなく飲みやすい焼酎を造るために、昭和50年頃に登場したのが通常の蒸留器よりも沸点を低くできる減圧蒸留器。これにより、※フーゼル油があまり気化せず、高度に除去することができるようになった。その結果、まるで吟醸酒のような華やかな香りをもつ焼酎が生まれ、新しいファンの獲得につながったわけで、減圧蒸留器はひとつの革命をもたらしたといえる。一方、最近では、伝統的な常圧蒸留のもつ焼酎本来の風味が見直されてきた。 銘柄や原料とともに蒸留法も焼酎選びの参考にしてみると楽しい。

※フーゼル油/焼酎の香味成分のひとつで、アルコールや有機酸を成分とするが、含まれる量が多すぎるとクセの強い味になる。

血栓を溶かす焼酎の効果

元宮崎医科大学学長の美原恒氏と、倉敷芸術科学大学教授、須見洋行氏の実験で、焼酎には血栓を溶かす酵素の働きを活性化する効果があることがわかった。この作用は酒全般にあるものだが、焼酎はその効果が特に高く、中でも本格焼酎(乙類)は甲類よりさらに優れた作用が認められたという。また、焼酎をはじめとするアルコールには、血管壁をきれいにする善玉コレステロールを増やす働きもあるため、適度に飲むことで心筋こうそくや高血圧、心臓病などの予防効果が期待できそうだ。

宮大工の落書き

鹿児島県大口市にある郡山八幡宮(国の重要文化財)の修繕工事の際に、「焼酎」という文字の書かれた約450年前の木簡が発見された。これが日本最古の「焼酎」という文字の記録とされている。その内容は、「神社の修理の時に、施主は一度も焼酎を飲ませてくれなかった。なんとも迷惑なことである」というもの。工事に関わった宮大工の落書きだったのだ。琉球から渡来した当初は貴重品だった焼酎が、少なくともこの時代には、焼酎が庶民の飲み物になっていたことがわかる。宮大工さん、ふるまいの焼酎を楽しみに仕事に精を出していたのだろうか。

ダレヤミの風土

宮崎では晩酌のことをダレヤミ(ダイヤメ)という。ダレとは「疲れ」のことで、つまりダレを止める、疲労回復という意味だ。体の疲れならたっぷりと睡眠をとれば回復するが、心の疲れはなかなかそうはいかない。精神疲労は現代人特有のもので、昔の人はもっとおおらかに暮らしていたのではと考えがちだが、上下、近隣の関係がより濃厚だった時代だったからこそ、案外、ストレスも多かったのだろうか。適量の焼酎は、人の心を楽にするだけでなく、口をなめらかにし、コミュニケーションを円滑にする。一人で黙って飲むのではなく、知人や家族と語らいながら楽しむ焼酎は、さぞ心の疲れを癒してくれたのだろう。焼酎は語らいの酒であり、心を通わす「ダレヤミ」の酒として、愛されてきたことがわかる

宮大工の落書き

鹿児島県大口市にある郡山八幡宮(国の重要文化財)の修繕工事の際に、「焼酎」という文字の書かれた約450年前の木簡が発見された。これが日本最古の「焼酎」という文字の記録とされている。その内容は、「神社の修理の時に、施主は一度も焼酎を飲ませてくれなかった。なんとも迷惑なことである」というもの。工事に関わった宮大工の落書きだったのだ。琉球から渡来した当初は貴重品だった焼酎が、少なくともこの時代には、焼酎が庶民の飲み物になっていたことがわかる。宮大工さん、ふるまいの焼酎を楽しみに仕事に精を出していたのだろうか。

「飲んだら乗るな」が鉄則

せっかくの楽しい焼酎も、交通事故の原因になっては本末転倒。飲酒運転の危険性は誰もが知るところだが、「わずかな量」でも危険は同じだ。平成14年6月の道路交通法改正では「酒気帯び運転の基準値引き下げ」「罰則強化」「違反点数の引き上げ」が行われ、飲酒運転を許さない姿勢が強化された。くれぐれも気をつけたい。



Copyright by 宮崎県秘書広報課 2000.AllRight Reserved.