宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

トビウオすくい

集魚灯をめがけて飛んでくるトビウオを
空中でキャッチする、都井岬の夏の風物詩。

初夏の頃、はるか南の海から黒潮に乗って沿岸にやってくるトビウオは、宮崎の夏の使者だ。日南市や串間市はトビウオの産地として知られ、古くは延喜式(905年)にも、串間から貢ぎ物としてトビウオの干物が納められたことが記録されている

その名の通り、長い胸びれと無駄のない体形を生かして最長400メートルも海面を飛翔するというトビウオを、手網を使って空中でキャッチするのが「トビウオすくい」。現在、トビウオははえ縄や網漁で漁獲されるため、もっぱら観光漁として都井岬周辺で行われている。

トビウオすくい

漁期は6月から9月。夜、漁場へ出て集魚灯を照らすと、あちこちから灯りをめがけてトビウオが飛んでくる。子供でも挑戦できる手軽な漁だが、40センチ近い大物がずしんと手網に入った時の充実感にファンが多い。

トビウオ科の魚は日本近海に30種ほどが知られているが、春から初夏にかけて第一陣としてやってくるのはツクシトビウオ、それから季節を追ってホソトビウオ、アヤトビウオ、トビウオ、ハマトビウオの順になる。もっとも大型になるのは秋から晩秋にかけてのハマトビウオで、最大50センチにもなるという。

トビウオ

日によって好漁・不漁はあるものの、家族で食べるには十分なほど獲れるという。干物が有名だが、新鮮なものは刺身で味わうと、さっぱりした中にもほんのりと甘みがあっておいしい。海を渡る夜風の中、夕涼みを楽しみながらのトビウオ漁は、宮崎の夏の風物詩だ。

問い合わせ:串間市観光協会TEL0987-72-0479