宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

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宮崎の森

宮崎の森を歩く

宮崎の森は、土地ごとに多彩な表情をもつ。九州脊梁山地に連なる県北部の山々は、落葉樹のブナが覆い、県央部では国内最大の照葉樹林が広がる。 諸塚村など椎茸栽培の盛んな土地では、原木となるクヌギと自然林がパッチワークのような山模様を見せ、飫肥杉で知られる県南部は、人が丹精した杉林が点在する。 それは、長い時間の中で、人と森がうまく折り合いをつけながら、共生してきた姿でもあるのだろう。

宮崎の森

そんな、あるがままの宮崎の山の姿が、今、大切な財産として評価されている。 地形の険しさから、国内で最後まで焼畑農業が残っていた椎葉村や米良地方は、それがために、自然と一体であった時代の文化や風俗が残り、エネルギー革命の影響で、一時勢いをなくしていた美郷町を中心とした炭焼きは、スローライフをめざす都会の人々の憧れをひきつけるようになった。 人は、山に分け入り、森にたたずんでいるだけで、心や体が癒されていくという。そんな森のもつ効果を活用する森林セラピーへの取り組みも始まった。また、太古から伝わる風俗や文化を、訪れた人に体験してもらうメニューも次々に生まれてきている。 それは、宮崎の本来の姿をなるべく変えることなく、そのままに味わってもらう、いわば、見る観光から感じる観光への転換でもあるのだろう。 今、新たな魅力を発信し始めた宮崎の森を、各地に訪ねてみた。

宮崎の森