宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
海幸山幸うまいもの
取材協力
●ホテル浜荘
宮崎市吾妻町151
TEL 0985(24)3019

味わい深い冬の旬を楽しむ

寒メジナのお造り

寒メジナのお造り

日向灘の荒磯育ちのメジナは、
ほんのりした脂がのる冬が旬。

猪磯場が連続する宮崎県の沿岸には、地元で瀬魚と呼ばれる磯魚が多い。いずれも黒潮の魚で、メジナ、ブダイ、ニザダイ、タカノハダイなどが含まれるのだが、ナイロンの釣り糸が発明される以前は、力の強い瀬魚はなかなか釣り上げることができなかった。地元ではイセエビ漁の網に入るものが漁師料理として食べられていたが、都会の人にとっては、幻の魚だったといえるかもしれない。

昭和40年代、釣り道具の進歩とともに磯釣りブームが起き、特にメジナが脚光を浴びるようになってから、そのおいしさも広く知られるようになった。特に冬場は、寒メジナとして賞味する。きれいな白身にほんのりとした脂がのり、お造りにすると見た目も美しい。頭やアラはみそ汁にも向く。漁師町では皮付きのまま軽くあぶって氷にとったものを刺身にする「焼き切り」で食べていた。皮と身の間にあるうまみを逃がさない、漁師の知恵だ。冬の夜、荒磯に砕ける波しぶきを思いながら、メジナの刺身を味わうのは宮崎ならではの楽しみだ。

あんこう鍋

あんこう鍋

冬の夜は、ほかほかの鍋で
地獲れのあんこうを味わう。

あんこうは深海魚と思われているが、案外浅いところに多く、日向灘では水深20m〜70mほどのところでよく獲れている。特に川南から青島にかけての漁場はあんこうが多く、最近は冬場になるとスーパーでも地獲れのものが並ぶようになった。くせがないのにだしが深い持ち味を生かして、あっさりとした鍋で味わいたい。

ワタリガニのかに巻き汁

ワタリガニのかに巻き汁

ふわふわとした食感と
カニの濃厚な風味をみそ仕立てで。

かに巻き汁は、秋に川を下る時期のモクズガ二のものが有名だが、海のワタリガニでもおいしい。ゆでて取り出した身をすり鉢であたったものにみそを加えて、みそ汁にする。ふわふわとした食感と、濃厚なカニの風味がうれしい。

カサゴの唐揚げ

カサゴの唐揚げ

いかめしい姿に似ず、淡白な白身
大型のものを丸のまま唐揚げに。

マサバと並んで、ここ10年ほどの間にもっとも株を上げた魚がカサゴだろう。昔は磯場ならどこにでもいたが、最近は型の良いものが少なくなり、すっかり高級魚の仲間入りをした。煮付け、みそ汁、造りと何にでも向くが、いかめしい姿そのままの唐揚げはちょっとぜいたくな気分を味わえる。

冬野菜の炊き合わせ

冬野菜の炊き合わせ

体を温める根菜を使って
たっぷりのだしで炊き合わせる。

昔から「体の冷えには根菜が良い」といわれる。冬場にとれる食べ物が、体を温めてくれるというのは自然のありがたさだろう。かぶ、千切り大根、里芋、人参、水菜、白菜といった地どれの野菜を、たっぷりのだし汁で炊き合わせる、冬の夜のごちそうだ。